今注目の黄えんどう豆って何がすごいの?

目次

ポイント

  • 人口爆発が続く中、必須栄養素である「たんぱく質」の供給量が不足する“たんぱく質危機”が懸念される。
  • 「黄えんどう豆」を含む豆類は、他の農作物に比べて、たんぱく質含有量が多い。
  • 「黄えんどう豆」は環境配慮した生産が可能。

黄えんどう豆が注目される理由

環境悪化、人口爆発、食糧不足など様々な問題を抱える地球。持続可能な未来に向けて、限りある水資源の有効利用の観点から、地球への環境負荷の小さい「植物性素材」に注目した。

中でも、今後、供給不足が懸念される必須栄養素である「たんぱく質」の生産効率が良く、かつ根粒菌の働きで、窒素肥料の使用量を低減することで環境負荷軽減ができる「豆類」に注目した。

また、おいしく継続的に食べていただきたい想いから、豆類の中から、食品加工工程で品質劣化の原因となる脂質含有量が低めの素材として、「黄えんどう豆」にさらに注目した。

黄えんどう豆に含まれるたんぱく質に注目

世界の人口は2019年の77億人から2030年には85億人、さらに2050年には、97億人に達すると言われている。 人口爆発が続くことで、食糧不足が懸念されており、中でも必須栄養素である「たんぱく質」の供給量が不足する“たんぱく質危機”が懸念されている。

たんぱく質は、酵素などの主成分として生命現象の発現に利用されるほか、筋肉や骨、臓器、皮膚、血液など人体を構成する最も重要な栄養素の一つで、常に外部から補給する必要がある。現在の食生活におけるたんぱく質摂取は食肉への依存が高く、人口爆発に伴い、さらに食肉の消費量が増えることが想定されているが、食肉の供給量には限界がある。そういう意味で、代替肉等の「植物性たんぱく質素材」が注目を集め、関心が高まっている。

「黄えんどう豆」を含む豆類は、他の農作物に比べて、たんぱく質含有量が多いだけでなく、水資源の要水量の観点で、たんぱく質の生産効率が良く、地球環境を考慮すると、より生産量や消費量を増やしていくことが望まれる、優れた素材と考えられる。

黄えんどう豆が環境負荷の軽減にもつながる理由

「黄えんどう豆」を含む豆類の特長はほかにもある。「根粒菌」と共生できることだ。 植物が生育するには様々な栄養素が必要だが、窒素(N2)は、マメ科植物を含むすべての植物の生育に欠かせない成分であり、たんぱく質の主成分として重要な成分である。

通常は、植物の生育に必要な窒素(N2)は根から吸収され、土壌に足りない分は、窒素系の肥料で補われるが、自然環境中では必要量が確保できないため、生育の制限因子となりやすい。また、この窒素系の肥料は環境汚染につながることが指摘されている。そこで豆類の最大の特徴といってもいい「根粒菌」と共生できることが重要になってくる。 窒素は、通常、大気中に気体状のN2分子の状態で大量に存在している。しかしながら、植物はこのままでは直接利用することができない。

その中で、マメ科植物は、大気中のN2をアンモニアに還元する生物的窒素固定能を有する「根粒菌」と共生する能力を獲得することで、大気中のN2を栄養素として活用することができるようになったのである。この能力を獲得することで、窒素系肥料の使用量を減らすことができ、その結果、環境負荷の軽減にもつながっていると考えられる。

監修 : 國分 牧衛

東北大学名誉教授・科学技術振興機構 研究主幹

監修 : 本間 香貴

東北大学大学院 農学研究科 作物学分野 教授