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食物繊維とは?分かりやすく解説

食物繊維とは?分かりやすく解説

便秘対策のイメージがある食物繊維。ほかにも、食物繊維をきちんととれているかどうかは、女性に多い病気(高血圧、糖尿病、骨粗鬆症など)などの予防に関係があるとされています。そんな食物繊維の具体的な働きやとり方について解説します。
食物繊維とは?分かりやすく解説
  1. 食物繊維とは?
    • 第6の栄養素
  2. 食物繊維の働きとは?
    • 整腸作用
    • 血糖値上昇を抑える
    • 血液中のコレステロール濃度の低下
  3. 食物繊維のとり方・注意点
    • 1日の摂取基準
    • 食物繊維をとりすぎることはほぼない

食物繊維とは?

食物繊維とは人の消化酵素では消化することができない成分で、日ごろ私たちが口にする食べ物のなかに含まれています。

水に溶けない「不溶性食物繊維」と水に溶ける「水溶性食物繊維」の2種類があり、これらをまとめて食物繊維と呼んでいます。

食物繊維といえば便秘対策」。そんなイメージをお持ちの方も多いですよね。でも実は、食物繊維の働きは、それだけではありません。便秘対策はもちろん、心筋梗塞のリスク低下や血中コレステロール値の低下など生活習慣病の予防効果を食物繊維はもたらしてくれる、ありがたい存在なんです。

第6の栄養素

5大栄養素といえば、炭水化物・タンパク質・脂質・ビタミン・無機質。私たち人間の生命活動を維持するために必要不可欠な栄養素ですよね。

食物繊維は整腸作用など身体のなかで有用な働きをすることから、それら5大栄養素に次ぐ「第6の栄養素」とも言われ、とても注目されているんです。

食物繊維の働きとは?

食物繊維の働きはいくつかあり、便通を整えて便秘を防ぐ整腸作用。腸内環境を整え、便秘改善に役立ちます。また、とりすぎることにより肥満や脂質異常症(高脂血症)・糖尿病・高血圧などを引き起こす原因となる脂質・糖・ナトリウムなどの吸収を緩やかにしたり、これらの物質を吸着して、身体の外に排出してくれる働きもあります。

そのため、食物繊維は生活習慣病の予防・改善にも効果が期待できるといわれています。

整腸効果

たんぱく質・脂質・炭水化物などの栄養素は、消化管のなかで消化酵素によって分解・消化され、小腸から体内に吸収されていきます。それに比べ、 食物繊維は消化・吸収されずに小腸を通って大腸まで達するのが特徴。便の体積を増やし、大腸を刺激して腸の動きを活発化することで排便を促す働きがあります。また、食べ物が胃や小腸を通って大腸まで到達すると、食べ物に含まれる食物繊維が大腸に住む腸内細菌のエサとなり、善玉菌を増やして腸内環境を好ましい状態に保ってくれます。腸内環境が好ましい状態になれば、排便が促進され、便秘改善が期待できます。

血糖値上昇を抑える

他の栄養素の吸収を妨げたり、吸収速度を遅らせたりする働きがある種類の食物繊維もあります。
食物繊維をとると糖の吸収速度を緩やかにすることができ、血糖値の上昇速度を抑え、食後の高血糖を防ぐことができます。「食後の血糖値上昇が気になる方に」「糖の吸収を穏やかにする」と記載された特定保健用食品(トクホ)は関与成分として食物繊維の一種を使用したものです。

血中コレステロール濃度の低下

糖と同じように、食物中に含まれるコレステロールの吸収を妨げる作用がある食物繊維もあります。また、コレステロールを体外へ便と一緒に排出してくれる働きもあり、血中コレステロール濃度を下げる効果も知られています。

食物繊維の種類は?

食物繊維は、水に溶けやすいか・そうでないかで大きく2種類に分類されます。ひとつは「不溶性食物繊維」、もうひとつが「水溶性食物繊維」です。それぞれ異なる特徴と働きがあります。なお、ひとつの食品のなかに不溶性食物繊維と水溶性食物繊維のどちらも含まれているものがほとんどです。

不溶性食物繊維

不溶性食物繊維は保水性が高いことが大きな特徴です。体内で水分を吸収して膨らんで便の体積を大きくし、腸を刺激することで排便を促します。ライ麦やそばなどの穀類・切り干し大根やとうもろこしなどの野菜・きのこ類・豆類などに多く含まれています。

水溶性食物繊維

水溶性食物繊維は、腸内で水分を吸収し、粘性を示すことにより栄養素の吸収を緩やかにし、血糖値の急激な上昇を抑えてくれる効果があります。また、水溶性食物繊維の多い食品をとると糖質の消化・吸収を緩やかにしてくれます。

血液中のコレステロール濃度の低下

人間の身体に存在する脂質のひとつで、細胞膜・ホルモン・胆汁酸を作る材料となっているコレステロール。血液中に多すぎたり少なすぎたりすると、動脈硬化などの原因となってしまいます。食物繊維には、そんなコレステロールの吸収を抑制してくれたり、胆汁酸の吸着・排泄を促してくれたりする作用もあります。また、食物繊維の摂取量が多い人は心疾患の発症リスクも低いというデータも報告されています。

食物繊維の摂りかた・注意点

食物繊維はおもに、穀類・豆類・野菜類・果実類・きのこ類・藻類などの植物性食品に多く含まれています。まずは1日1食、主食の白米を玄米ごはん・麦ごはん・胚芽米ごはんなどに置き換えてみましょう。また、さつまいも・ブロッコリー・いんげん豆・たけのこ・ごぼう・切り干し大根・ひじきなどには、1食あたりで食べる量のなかに食物繊維が2~3gも含まれています。それらの食品を毎日の献立のなかにうまく取り入れると、無理なく食物繊維をとることができますよ。

1日の摂取基準

厚生労働省策定の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、食物繊維の1日あたりの目標摂取量は18~64歳で男性21g以上、女性18g以上です。

しかし、昔に比べて穀類・いも類・豆類の摂取量が減少していることにより、現代の日本人の平均摂取量は14g前後と推定されています。「1日に1回、規則的に排便がある」ということが、食物繊維がとれているかどうかのひとつのサインです。まずは1日あたりプラス3~4gを目標に、積極的に食物繊維をとるよう心がけてみましょう。

食物繊維をとりすぎることはほぼない

現代の日本人の食生活では、食物繊維をとりすぎるということはほとんどありません。しかし、サプリメントなどを多量に摂取すればとりすぎになることも。食物繊維をとりすぎてしまうと、カルシウムやカリウムなどをはじめとするミネラルの吸収を妨げてしまったり、下痢を助長してしまったりすることもあります。毎日の食事のなかで、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維をバランスよく摂取することを心がけましょう。

監修者尾上 雅子(管理栄養士)

    大学卒業後、食品メーカーにて、品質管理・商品企画・広報などの業務に携わる。現在は、企業やクリニックにてビジネスパーソンの健康サポートを行うとともに、商品・サービスの監修、コラム執筆など、食と健康の分野で活動中。

    ライターMugi

      3歳・1歳の2人の男の子を育てる在宅ライター。食・インテリア・子育て系のコラムをはじめ執筆ジャンルは多岐にわたる。得意分野は新しい商品やサービスの紹介記事。

      参考リンク
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