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食物繊維をとりすぎると、下痢や便秘が悪化?その原因と対策とは

食物繊維をとりすぎると、下痢や便秘が悪化?その原因と対策とは

整腸作用で知られる食物繊維。意識的に食物繊維をとろうとしている方も多いのではないでしょうか。
食物繊維をちゃんととっているはずなのに、お腹がゆるい…便秘でお腹が張る…など
健康的に排便できていないという人がいます。それはなぜでしょうか?
食物繊維をとりすぎると、下痢や便秘が悪化?その原因と対策とは
  1. お腹の悩み別 あなたの”とりすぎている”食物繊維
  2. 下痢や軟便は「水溶性食物繊維」のとりすぎかも
  3. 便秘がひどくなるのは「不溶性食物繊維」のとりすぎかも
  4. 食物繊維の整腸作用
  5. 食物繊維をバランスよく効率的にとる方法
  6. そもそもなぜ食物繊維が便秘に効果的なの?

お腹の悩み別 あなたの”とりすぎている”食物繊維

食物繊維がきちんととれているかどうかは、あなたの排便習慣でわかるかもしれません。1日1回規則的に排便ができていれば、食物繊維が必要な量でとれている目安になるんです。

さらに、「黄色から黄色がかった褐色・においがあっても臭くない・柔らかいバナナ状」というのが健康な便の特徴。
健康的に排便できない理由はさまざまですが、実は、適正量を超えた食物繊維をとっていると下痢や軟便になったり、便秘がひどくなったりしてしまうことがあるんです。

症状はとりすぎている食物繊維の種類によって違います。

もしも「気をつけて食物繊維をたくさんとるようにしているのに、お腹のトラブルがあるのはなぜ?」とお悩みなら、まずはお腹のトラブルからあなたがとりすぎている食物繊維の種類を考えてみましょう。

下痢や軟便は「水溶性食物繊維」のとりすぎかも

食物繊維には大きく分けて「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2種類があります。
水溶性食物繊維は糖やコレステロールの吸収を抑える効果や、便を柔らかくする効果が知られています。ただし、一般的な食生活をしていれば食物繊維をとりすぎてしまうことは、ほとんどありません。
しかし、水溶性食物繊維をとりすぎてしまうと、下痢や軟便の原因になってしまうことがあるんです。
特定保健用食品(トクホ)でよく見る「おなかの調子を整える」「食後の血糖値の上昇を緩やかにする」という表示。これらの表示のあるトクホの多くには「難消化性デキストリン」という水溶性食物繊維が関与成分として使われています。

難消化性デキストリンを摂取しすぎるとお腹がゆるくなってしまうことがあります。また、難消化性デキストリンを含んだ食品は多く流通しているので、複数の食品から気づかないうちに過剰にとってしまう可能性もあり、注意が必要です。

難消化性デキストリンのほかに、コンニャクに含まれる成分「グルコマンナン」も過剰摂取で下痢を誘発することが知られています。

便秘がひどくなるのは「不溶性食物繊維」のとりすぎかも

不溶性食物繊維には、便のかさを増し、腸を刺激することで排便を促進する効果があります。しかし、こちらも過剰にとるとお腹のトラブルの原因になることも…。
もともと便秘状態で腸の動きが低下している人が不溶性食物繊維をとりすぎてしまうと、大きくかさが増した便をうまく排出できず、便秘がひどくなってしまうことがあります。
不溶性食物繊維が多く含まれているのは、穀物では大麦や玄米、野菜ではごぼう・にんじん・ほうれん草など。便秘がひどい方は特にこれらの食品を多くとりすぎないほうがよいでしょう。

食物繊維の整腸作用

食物繊維の整腸作用はよく知られていますね。水溶性と不溶性、どちらの食物繊維にも整腸作用があります。水溶性食物性は便を柔らかくして排出しやすくし、善玉菌のエサとなることで腸内環境を良好に保ちます。また、不溶性食物繊維は便の容積を増やして便通を促します。
便秘にお悩みの方で、食物繊維をたくさんとろうとしている方も多いのではないでしょうか。お腹の調子を整えたいのに、便秘がよりひどくなったり、反対にお腹がゆるくなりすぎたりしては困ってしまいますね。食物繊維が不足、またはとりすぎていないか見直してみましょう。

食物繊維をバランスよく効率的にとる方法

食物繊維は動物性の食品にはほとんど含まれていません。お肉よりも、野菜や果物・きのこ・海藻などを積極的に食事に取り入れると自然と食物繊維の摂取量がアップするでしょう。水溶性食物繊維と不溶性食物繊維が多く含まれている食品を覚えておき、どちらかに偏らないように意識するとさらに良いですね。
また、食物繊維は米や小麦などの穀類にも含まれています。食べる量の多い主食になる穀類からより多くの食物繊維をとれると効率的と言えます。白米より玄米、白い小麦粉よりライ麦や全粒粉など、精製度が低いもののほうがより多くの食物繊維を含んでいます。食物繊維の含有量は、玄米のほうが白米の6倍にもなるんです。

ほとんどの人に不足していると言われている食物繊維ですが、日本人の一般的な食生活をしていれば食物繊維を過剰にとっていることはほとんどないと言われています。しかし、サプリメントやトクホなどでより多くの食物繊維をとろうとする場合は「とりすぎていないか」という視点も持つと良いですね。また、便秘の症状がある方も不溶性食物繊維をとりすぎていないかいま一度チェックしてみましょう。

そもそもなぜ食物繊維が便秘に効果的なの?

私たちが日ごろ口にしているタンパク質・脂質・炭水化物などの栄養素。それらは、消化管の中で消化酵素によって分解され、小腸から体内に吸収されます。それに対して食物繊維は、人の消化酵素で消化されないことが特徴の成分です。そのため、小腸を通って大腸まで達することができます。
大腸に届いた食物繊維の成分は便の体積を増やす材料となり、排便リズムを回復させてくれることで便秘解消につながります。
食物繊維に便秘解消をはじめとする整腸作用が期待されるのは、こういった効果によるものなのですね。

監修者尾上 雅子(管理栄養士)

    大学卒業後、食品メーカーにて、品質管理・商品企画・広報などの業務に携わる。現在は、企業やクリニックにてビジネスパーソンの健康サポートを行うとともに、商品・サービスの監修、コラム執筆など、食と健康の分野で活動中。

    ライターシマサキアヤ

      PR会社、小売業のマーケティング担当を経て、出産後ライターとして活動中。3歳の娘を育てています。

      参考リンク
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      食物繊維は炭水化物に含まれる!正しく理解して、適切な量を摂取しよう 食物繊維の取り方を効率化!むやみに摂取するだけではダメな理由