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食物繊維の取り方を効率化!むやみに摂取するだけではダメな理由

食物繊維の取り方を効率化!むやみに摂取するだけではダメな理由

食物繊維は体のバランスを整えるはたらきを持ち、第6の栄養素と呼ばれる重要な栄養素ですが、日本人は不足しているといわれています。しかし、不足しているからといってむやみに食物繊維を含む食材を摂取しても、不足分はなかなか補えません。ここでは、食物繊維の取り方を効率化し、食物繊維の特徴や多く含む食材、一緒にとることで効果的な食材を解説していきます。
食物繊維の取り方を効率化!むやみに摂取するだけではダメな理由
  1. 食物繊維の取り方を考える
  2. 食物繊維はどのくらいとれている?
  3. 食物繊維の特徴と含む食材
    • 水溶性食物繊維が多い食材
    • 不溶性食物繊維が多い食材
  4. 食物繊維と一緒にとったほうがいい食材
  5. 食物繊維をとれるレシピ
    • 枝豆とじゃがいものチーズおやき
    • 根菜スープカレー

食物繊維の取り方を考える

食物繊維は人間の消化酵素で分解できない難消化性炭水化物に分類され、そのほとんどが非でんぷん性多糖類とされています。糖質のような、エネルギー源になる栄養素ではありませんが、体のバランスを整え、生理的機能を支える重要な役割を担っていることから「第6の栄養素」とも呼ばれています。

そういった体にうれしいはたらきを持つ食物繊維は、積極的にとりたい栄養素のひとつです。食物繊維の取り方としては、日々の食事からはもちろん、最近ではゼリーやサプリメントなどの特定保健用食品、機能性表示食品や栄養機能食品も多く販売されており、好みやライフスタイルにあわせた選択肢も増えています。食物繊維の効果を高めるために、あらためて食物繊維の取り方についても考えてみてはいかがでしょうか。

食物繊維はどのくらいとれている?

では、一日に食物繊維はどのくらい摂取すればよいのでしょうか。18〜64歳の日本人一日当たりの食物繊維摂取目標量は男性21g以上、女性18g以上とされています。

しかし実際の摂取量は、この数値に届いていないのが現状です。健康増進法に基づき、毎年国民の健康状態などを調査しまとめた厚生労働省の調査によると、20歳以上の食物繊維摂取量の平均値は、男性15.3g、女性14.7gと、3〜5g程度不足していることが分かります。

参照:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf

参照:厚生労働省「平成30年国民健康・栄養調査結果の概要」https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000688863.pdf

食物繊維の特徴と含む食材

食物繊維はどのような特徴があるのか​​を見ていきましょう。食物繊維には、大きく分けて水に溶ける「水溶性食物繊維」と、水に溶けない「不溶性食物繊維」があります。

では、食物繊維はどのような食材に多く含まれているのでしょうか。食物繊維は肉・魚などの動物性食品にはほとんど含まれず、野菜・果物・キノコ・海藻・こんにゃくなどの植物性食品に多く含まれています。今から約70年前は一人あたり20g以上の食物繊維を摂取していましたが、穀類や豆類、いも類や野菜類の摂取量の減少に伴い、食物繊維の摂取量も減少しています。実際の野菜摂取量を見てみても、一日350gの目標に対し、男性平均290.9g、女性273.3gと、男女共に50g程度不足しています。食物繊維の摂取量を増やすには、前述の植物性食品を積極的に食事に取り入れることが重要です。

参照:厚生労働省「平成30年国民健康・栄養調査結果の概要」https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000688863.pdf

水溶性食物繊維が多い食材

水溶性食物繊維にはさまざまな種類があり、ペクチン・グルコマンナン・アルギン酸・アガロース・アガロペクチンなどが代表的です。水溶性食物繊維には、腸管内での栄養素やコレステロールの吸収にかかわるほか、整腸作用もあります。海藻類やいも類、野菜・果物類に多く含まれ、なかでもこんにゃく粉やじゃがいも、大豆(乾)、大麦などに、野菜のなかでは枝豆、にんじん、オクラ、だいこんなどの食品に豊富に含まれています。

不溶性食物繊維が多い食材

一方、不溶性食物繊維はセルロース・ヘミセルロース・キチン・キトサンなどの種類が挙げられます。腸を刺激し消化を促すはたらきのほか、水分を含むことで便のかさを増し、排便をスムーズにしたりするはたらきなどを特徴とします。水溶性食物繊維と同じく、海藻類や野菜・果物類のほか、 豆類、穀類、 キノコ類 などに多く含まれており、なかでもこんにゃく、きくらげ、 おから、全粒粉などの食品に豊富に含まれています。

食物繊維と一緒にとったほうがいい食材

不足気味の食物繊維、せっかくなら効率的に摂取したいですよね。ここからは、食物繊維と一緒にとったほうがいい食材をご紹介します。

乳酸菌

「プレバイオティクス」という言葉を聞いたことはありますか。プレバイオティクスとは、乳酸菌など、生きて腸に到達できる有用な微生物の増殖を助けるものを指します。プレバイオティクスの代表的な成分はオリゴ糖ですが、食物繊維にもプレバイオティクスの効果があるのです。食物繊維は乳酸菌のえさとなり増殖を助けることで、腸内細菌のバランスを保ち、腸内環境を活性化させます。 また、脂質代謝などにも働くことから、乳酸菌も一緒にとることで食物繊維はより効果を発揮します。
乳酸菌は、ヨーグルト・乳酸菌飲料・納豆・漬物などに含まれています。しかし、これらの菌は毎日続けて摂取をしないと腸内に住み着くことはないとされているため、継続して食べることが大切です。

未精製の穀類(米・パン・麺類)

未精製の穀類には、食物繊維だけではなく、ミネラルやビタミンも豊富に含まれています。そのため、食物繊維は主食である穀類から補うのがおすすめです。たとえば、白米を玄米に変えると1.7g、食パンをライ麦パンに変えると2.0g、うどんをそばに変えると2.4g、それぞれ1食あたりの食物繊維摂取量がアップします。そのほかにも麦ご飯や胚芽米ご飯、全粒粉のスパゲッティなども食物繊維をとりたいときにはおすすめです。

食物繊維をとれるレシピ

では、実際に上記の食品をどのように食卓に取り入れればよいのでしょうか。ここからは、効率的に食物繊維をとるためのレシピをご紹介します。

枝豆とじゃがいものチーズおやき(2人分、調理時間約20分)

食物繊維を含む野菜×乳酸菌を含む食べ物を組み合わせた朝食にぴったりなレシピです。

枝豆50gは塩少々を加えたお湯で1分ほどゆで、さやから取り出して冷まします。スライスチーズ2枚はキッチンばさみで5mm角に、じゃがいも3個は皮をむいたら4つに切り、耐熱容器に入れてラップをかけ、電子レンジ(500w)で約5分加熱します。熱い内にマッシャーでなめらかになるまでつぶし、片栗粉大さじ3、牛乳大さじ1、マヨネーズ大さじ1を加えてよく混ぜ、塩、こしょうで味を調えたら、枝豆とスライスチーズを加えて混ぜ、6等分にして小判型に丸めます。フライパンにサラダ油大さじ1を中火で熱し、両面に焼き目が付くまで焼いたら完成です。食物繊維豊富なじゃがいもを効率的にとることができますよ。

参照:ナスラックキッチン「枝豆とじゃがいものチーズおやき」

https://www.nasluck-kitchen.jp/recipe/?menu_id=003649

根菜スープカレー(4人分、調理時間約45分)

食物繊維を含む野菜×雑穀米を使ったカレーのレシピです。米3合と雑穀ミックス25gをあわせて、規定量の水加減で炊きます。耐熱ボウルに、里芋(冷凍)12個、乱切りにんじん(冷凍)100g、薄切りれんこん(冷凍)100gを入れ、米酢大さじ2をまわしかけてふんわりとラップをし、電子レンジ(500W)で6分加熱。鍋にバター大さじ2を入れて弱火にかけ、タマネギのみじん切り(冷凍)1/2カップ、きざみニンニク小さじ2、ドライバジル大さじ1を加えてじっくりと炒め、香りが出たら、カレー粉大さじ2を加えてさらに炒めます。水6カップ、固形コンソメ1個、レンジで加熱した野菜、鶏手羽元8本を加えてアクをすくいながら15分煮込み、しょうゆ大さじ1、塩小さじ1を加えてさらに10分煮込みます。炊いたご飯と一緒に盛りつけたら完成です。

参照:ナスラックキッチン「根菜スープカレー」

https://www.nasluck-kitchen.jp/recipe/?menu_id=003864


せっかくならおいしく手軽に食物繊維を摂取したいですよね。今回ご紹介したレシピは、どちらも簡単に調理できるため、ぜひおうちの定番メニューに取り入れてみてくださいね。

監修者尾上 雅子(管理栄養士)

    大学卒業後、食品メーカーにて、品質管理・商品企画・広報などの業務に携わる。現在は、企業やクリニックにてビジネスパーソンの健康サポートを行うとともに、商品・サービスの監修、コラム執筆など、食と健康の分野で活動中。

    ライター矢崎 海里

      管理栄養士・フードコーディネーター。レシピ開発やコラム執筆、栄養指導を行っています。旬の食材を生かした、四季を感じる食生活を実践中。道の駅や市場で地元の食材を見るのが好きです。

      参考リンク
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