食物繊維は炭水化物に含まれる!正しく理解して、適切な量を摂取しよう
食物繊維は炭水化物に含まれる!正しく理解して、適切な量を摂取しよう
- 食物繊維と炭水化物の違いは?
- 炭水化物で太る原因は?食物繊維と糖質の違い
- 食物繊維はどんな働きをするのか?不足するとどうなる?
- 食物繊維はどれくらいとったらよい?食物繊維・炭水化物の1日の摂取基準量
- 炭水化物を多く含む食品って?食物繊維量は?
- 食物繊維を過不足なくとるためには、何をどれくらい食べたらよい?
食物繊維と炭水化物の違いは?
食物繊維は炭水化物の一種です。タンパク質、脂質と並び三大栄養素(最近はエネルギー産生栄養素とか呼んでいるようです)のひとつである炭水化物には、体のエネルギー源となる「糖質」と、体内の消化酵素では分解できない「食物繊維」の二種類があります。
炭水化物で太る原因は?食物繊維と糖質の違い
高カロリーなイメージのある炭水化物。「炭水化物はとにかく太る原因!」と考えている方も多いのでは?そんな炭水化物で太ってしまう原因とは一体何なのでしょうか。
先ほどもお伝えしたとおり、炭水化物には糖質と食物繊維の二種類があります。糖質は、米・パン・麺などの主食のほか、芋、果物、砂糖などに多く含まれており、体内で消化されエネルギー源として働きます。そのため、糖質が不足すると疲労感や集中力の低下に繋がることも。糖質をとりすぎた場合には、過剰な糖質がエネルギーとして使用されずに中性脂肪として蓄積され、肥満に繋がるとされています。
一方、食物繊維は糖質とは異なり体内で消化されないため、ほとんどエネルギー源になりません。また食物繊維はその性質により、水に溶けない不溶性食物繊維と、水に溶ける水溶性食物繊維に分けられます。とくに水溶性食物繊維は、水分を含んでゲル化する性質があるため、胃のなかで膨らみ空腹感を抑制する効果があります。また、食物繊維を多く含む食品は、咀嚼回数を増やすことで消化液の分泌を促すため、肥満の抑制に効果的とされています。
参照:厚生労働省e-ヘルスネット「炭水化物/糖質」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-018.html
参照:厚生労働省e-ヘルスネット「食物繊維」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-016.html
食物繊維はどんな働きをするのか?不足するとどうなる?
では、食物繊維は具体的にどのような働きをするのでしょうか。「炭水化物だから、とりすぎると太りそう…」と食物繊維を控えてしまうと、体に良くない影響を及ぼすこともあるため、注意が必要です。
食物繊維の代表的な働きとして、整腸作用が挙げられます。食物繊維の繊維質が水分を次に、便量を増加し排便を促すことで、お通じのリズムを整えます。また、脂質や糖、ナトリウムなどの吸着・排出にも関与し、体外への排出を手助けします。
食物繊維が不足すると、腸内環境の悪化に繋がり、排便がスムーズに行われないことも。さらには、各種栄養素の代謝や消化機能への影響も出てきます。食物繊維が不足しているかどうかは、「1日に1回、規則的に排便があるかどうか」が目安のひとつ。排便が1日に1回未満方や、排便リズムが不規則な方は、食物繊維が不足気味かもしれません。便量を作り出す食物繊維を、しっかりと食事から摂取することが大切です。
参照:厚生労働省e-ヘルスネット「食物繊維の必要性と健康」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html
食物繊維はどれくらいとったらよい?食物繊維・炭水化物の1日の摂取基準量
食物繊維や炭水化物は、1日あたり、どのくらいを目安に摂取したらよいのでしょうか。厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年度版)」によると、炭水化物の摂取目標量はエネルギー比率で示されており、全年代・性別において総摂取エネルギーの50〜65%とされています。年代・性別によって適切な摂取エネルギー量は異なるため、自分が摂取するエネルギーのうち、約半分程度を炭水化物から摂取するように心がけるとよいでしょう。
食物繊維に関しては、年代・性別ごとに摂取すべき目標量が定められています。こちらも厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年度版)」によると、18〜64歳の日本人の1日当たり摂取目標量は男性21g以上、女性18g以上とされています。しかし、厚生労働省「平成30年国民健康・栄養調査結果の概要」によると、現状では目標摂取量を下回っているとの報告も日本人は食物繊維不足と言われているため、日頃から意識して摂取することが重要です。
参照:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年度版)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
参照:厚生労働省「平成30年国民健康・栄養調査結果の概要」
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000584138.pdf
炭水化物を多く含む食品って?食物繊維量は?
炭水化物は、米やめん、パンなどの主食のほか、いも類にも多く含まれています。しかし、炭水化物量が多いからと言って食物繊維量も多いとは限りません。精白米100gあたりの炭水化物量は77.6gですが、そのうち食物繊維量はたった0.5g、干し中華めん(乾)100gあたりの炭水化物量73.0gのうち食物繊維量は2.9gしか含まれていません。それに、精白米のカロリーは100gあたり358kcal、干し中華めん(乾)のカロリーは100gあたり365kcalであり、少々カロリーが気になりますよね。炭水化物をとるときは単にその摂取量だけでなく、含まれる食物繊維量やカロリーなども同時に意識したいものです。
食物繊維を過不足なくとるためには、何をどれくらい食べたらよい?
炭水化物の一種であり、からだに嬉しい働きをもつ食物繊維。カロリーオーバーや食物繊維不足に陥ることなく食物繊維をとるためには、何をどのくらい食べたらよいでしょうか。
カロリーを抑えつつ食物繊維を多くとるには、野菜類がおすすめです。なかでも、オクラやブロッコリーは、低カロリーかつ食物繊維量が豊富です。これらの野菜小鉢一皿(約100g)を加えると、一日目安の食物繊維量のうち約1/5を補うことができますよ。
野菜のほかにも、こんにゃくも低カロリーかつ食物繊維豊富な食材としておすすめです。また、少々カロリーは高くなりますが、いも類にも食物繊維が多く含まれています。野菜類やこんにゃくなどの低カロリー・高食物繊維の食材とうまく組みあわせて、食物繊維不足にならない食事を心がけましょう。
参照:日本食品標準成分表2015年版(七訂正)
大学卒業後、食品メーカーにて、品質管理・商品企画・広報などの業務に携わる。現在は、企業やクリニックにてビジネスパーソンの健康サポートを行うとともに、商品・サービスの監修、コラム執筆など、食と健康の分野で活動中。
管理栄養士・フードコーディネーター。レシピ開発やコラム執筆、栄養指導を行っています。旬の食材を生かした、四季を感じる食生活を実践中。道の駅や市場で地元の食材を見るのが好きです。