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食物繊維と腸内細菌の良い関係。腸活に効果的なとり方は?

食物繊維と腸内細菌の良い関係。腸活に効果的なとり方は?

食物繊維と善玉菌。どちらも腸内を整える作用があることで知られています。食物繊維と腸内細菌にはさまざまな相互関係があり、腸内細菌の増加や腸内環境の維持に働きます。正しい知識を身につけ、効果的に腸活をおこないましょう。
食物繊維と腸内細菌の良い関係。腸活に効果的なとり方は?
  1. 腸内細菌と食物繊維との関係は?
    • 腸内細菌とは
    • 食物繊維は善玉菌のエサになる
  2. バランスが重要。効果的に腸内細菌叢を整えるには
    • 食物繊維は善玉菌と一緒にとると効果アップ
    • いつもの食事に食物繊維をプラス!おすすめの献立

腸内細菌と食物繊維との関係は?

近年よく耳にする「腸活」。腸活とは、腸内環境を正常に保ち、体の中から健康を維持する取り組みです。腸内には1,000種類にもわたる細菌がおよそ100兆個生息しており、これらを腸内細菌といいます。また、食物繊維も整腸作用などで知られており、腸に良さそうなイメージです。では、腸内細菌と食物繊維にはどんな関係があるのでしょうか。

まず、食物繊維の摂取により、腸内細菌数の増加が期待できます。食物繊維は人の体で消化されず、そのまま大腸まで運ばれます。大腸で代謝された食物繊維は腸内細菌のえさとなるため、細菌数増加につながるのです。

また、腸内細菌が食物繊維を食べることで酢酸や酪酸などの短鎖脂肪酸が増加し、腸内を酸性に傾けます。悪玉菌は酸性環境での生育が困難なものが多いため、食物繊維の摂取は腸内環境を良好に保つことにつながるのです。

参照:厚生労働省e-ヘルスネット「腸内細菌と健康」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-003.html

腸内細菌とは

人の腸内細菌は、私たちの体に有益な働きをする善玉の菌(善玉菌)、私たちの健康に影響をもたらす悪玉の菌(悪玉菌)、善玉でも悪玉でもない中間の菌(日内見菌)の3つに分類されます。腸内細菌の中で最も数が多いのが日和見菌で、次に善玉菌、悪玉菌と3種がバランスをとって生息しています。腸内細菌の中で最も数が多い細菌の種類は個人差があり、食事や住環境にもより大きく異なります。

食物繊維は善玉菌のエサになる

ビフィズス菌や乳酸菌などの、腸内に存在する善玉菌は炭水化物が大好物。なかでも、消化されずに大腸まで届く食物繊維は、善玉菌にとって絶好のエサとなります。食物繊維は豆類やいも類、野菜類やこんにゃくなどに多く含まれています。日頃から食物繊維を意識して食事に取り入れることで、腸内環境を整えましょう。

バランスが重要。効果的に腸内環境を整えるには

健康的な腸内環境作りは、善玉菌の割合を増やすことが重要です。善玉菌を増やして腸内環境を整えることにより、悪玉菌の割合を抑え、腸内でビタミンの産生にも働きます。また、食中毒菌や病原菌から体を守る作用もあります。

一方、腸内細菌のバランスが崩れ、大腸菌やウェルシュ菌などの悪玉菌が増加してしまうと、体にさまざまな悪影響をもたらします。悪玉菌はタンパク質や脂質中心の食生活や、生活リズムの乱れ、ストレスなどが原因で増加するといわれています。

腸内細菌の状態は、便から判断することができます。善玉菌が優位に働き、腸内が酸性に保たれているときは、黄色っぽい色の便、悪玉菌が増加し、腸内がアルカリ性に傾いているときは、茶色〜黒っぽい濃い色の便が排泄されます。

このように、腸内環境を整えるためには、日頃からの食生活を見直したり、便をチェックしたりすることで善玉菌の割合を増やし腸内細菌のバランスを上手にとることが大切です。

参照:厚生労働省e-ヘルスネット「腸内細菌と健康」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-003.html

食物繊維は善玉菌と一緒にとると効果アップ

人体に有益な菌である善玉菌はビフィズス菌や乳酸菌などが知られており、これらの善玉菌が優勢な状態が健康的な腸内環境とされています。腸内における善玉菌の割合を増やす方法のひとつとして、生きて腸まで届く有用な微生物「プロバイオティクス」を摂取することが挙げられます。プロバイオティクスは、チーズやヨーグルト、納豆、漬け物などの発酵食品からとることができます。ただ、腸内にプロバイオティクスを住み着かせるのは難しいため、食事によって習慣的にプロバイオティクスを取り入れることが重要です。また、腸内の善玉菌を増やす手助けをする「プレバイオティクス」をとることも、善玉菌が優勢な腸内環境を保つのに有効です。プレバイオティクスには食物繊維やオリゴ糖などがあり、これらは大腸まで運ばれて腸内の善玉菌のエサになります。

これらのプロバイオティクス、プレバイオティクスの両方を積極的にとることで、より効果的に腸内環境を整えることができます。そのため、プレバイオティクスである食物繊維をとる際に、プロバイオティクスにあたるビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌も一緒にとるとよいでしょう。

参照:厚生労働省イーヘルスネット「腸内細菌と健康」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-003.html

いつもの食事に食物繊維をプラス!おすすめの献立

では、食物繊維と善玉菌はどのように食事に取り入れていけばよいのでしょうか。そこで、忙しい毎日にも手軽に取り入れられる、食物繊維をプラスした、腸内細菌を整えるおすすめの献立をご紹介します。

・いつもの和定食に納豆をプラス

ご飯・みそ汁・おかずの定食スタイルに納豆をプラスすれば、食物繊維と善玉菌の両方を補うことができます。糸引き納豆1パック(50g)には食物繊維が3.4g含まれており、不足しがちな食物繊維を摂取できます。

・トーストにチーズと野菜サラダ

「朝食はトースト派」という方には、チーズと野菜サラダをプラスするのがおすすめです。チーズは乳酸菌を作用させて作るカマンベール・チェダー・ゴーダなどのナチュラルチーズを取り入れましょう。野菜サラダをあわせることで、食物繊維も補うことができます。

・ごはんのお供にキムチ

キムチは、白菜などの野菜を漬け込み、発酵させたものです。乳酸菌を取り入れられるほか、野菜の食物繊維も白米を雑穀米や玄米にすれば、さらに食物繊維の摂取量がアップしますよ。

腸内環境を健康に保つには、食物繊維と善玉菌の摂取が重要です。毎日習慣的に摂取をして、効率よく腸活を続けましょう。

農林水産省「特集1国産ナチュラルチーズの魅力(3)」
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1103/spe1_03.html

監修者尾上 雅子(管理栄養士)

    大学卒業後、食品メーカーにて、品質管理・商品企画・広報などの業務に携わる。現在は、企業やクリニックにてビジネスパーソンの健康サポートを行うとともに、商品・サービスの監修、コラム執筆など、食と健康の分野で活動中。

    ライター矢崎 海里

      管理栄養士・フードコーディネーター。レシピ開発やコラム執筆、栄養指導を行っています。旬の食材を生かした、四季を感じる食生活を実践中。道の駅や市場で地元の食材を見るのが好きです。

      参考リンク
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