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食物繊維は消化に悪いの?消化によい食物繊維のとり方とは

食物繊維は消化に悪いの?消化によい食物繊維のとり方とは

整腸作用があり、便秘の改善なども期待されている食物繊維。しかし、食物繊維自身は消化されない栄養素のため、消化に悪いイメージがある方もいるのではないでしょうか。今回は、食物繊維と消化の関係性や、消化によいとり方などを解説していきます。
食物繊維は消化に悪いの?消化によい食物繊維のとり方とは
  1. 食物繊維の働きと消化との関係
    • 食物繊維は消化できない?
  2. 食物繊維には2種類ある
    • 水溶性食物繊維の働きと主な食材
    • 不溶性食物繊維の働きと主な食材
  3. 消化が気になるときは食物繊維にも注意して
    • 不溶性食物繊維をとりすぎると便秘を招くことも
    • 2種類の食物繊維をバランスよくとり消化にも配慮しよう

食物繊維の働きと消化との関係

「腸の掃除役」とも呼ばれる食物繊維。代表的な働きとして、整腸作用が挙げられます。特定保健用食品で「おなかの調子を整える食品」として認められているものの多くでは、成分に食物繊維が含まれています。
そもそも食物繊維とは、人の消化酵素で消化できない成分です。タンパク質、脂質、炭水化物などは体内で消化され、小腸から吸収されますが、食物繊維はそのまま大腸まで到達し、便のかさを増やす手助けをします。また、腸内細菌のえさとなり、大腸内の環境を整える働きもあります。
食物繊維を多く含む食品は繊維質のものも多いため、噛む回数が増加することも特徴です。よく噛むことで唾液の分泌を促進し、口腔内を清潔に保つほか、消化を助ける働きもあります。

食物繊維は消化できない?

食物繊維は体内で消化されることがありません。そのため注目される栄養素ではありませんでしたが、近年はさまざまな生理機能など​​が分かってきて「第6の栄養素」として重要視されています。

ではなぜ消化されない栄養素が重要視されているのでしょうか。食物繊維は自身が消化されない分、ほかの栄養素の消化・吸収や、消化管との相互作用が認められています。また、食物繊維の種類により、性質や生理作用もさまざまです。

食物繊維には2種類ある

食物繊維は、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類に分類されます。水溶性食物繊維は水に溶けやすく、粘度がありネバネバする性質があります。一方、不溶性食物繊維は水に溶けず、水分を吸収し膨らむ性質を有しています。
食物繊維は、成分により働きもさまざま。ここからは、それぞれの食物繊維が具体的にどのような働きをするのか、解説していきます。

水溶性食物繊維の働きと主な食材

水溶性食物繊維には、ペクチン、グルコマンナン、アルギン酸などの種類があります。水に溶けやすく、ゲル状になるため胃から腸への食べ物の移動を緩やかにします。この働きにより、糖質の吸収速度も緩やかになるため、血糖値の急激な上昇を抑える効果もあります。またコレステロールや胆汁酸を吸着し、排出する働きもあります。
水溶性食物繊維を多く含む主な食材は、こんにゃく粉、しろきくらげ(乾)、らっきょう、ケール、干しわらびなどです。

不溶性食物繊維の働きと主な食材

不溶性食物繊維には、セルロースやヘミセルロース、キチン・キトサンなどの種類があります。水分を吸って膨らむため、消化管内でかさを増すことで便の量を増加させ、便の排出を促す効果があります。
不溶性食物繊維を多く含む主な食材はきくらげ(乾)、凍みこんにゃく、干しわらび、せん茶、おから(乾)などです。

消化が気になるときは食物繊維にも注意して

脂っぽいものや硬いものなど消化がしにくいものを食べたときや、早食い、食べ過ぎにより胃酸の分泌が間に合わないと、消化不良が起こります。食物繊維は腸内環境を整えるのには効果的ですが、そもそもは消化されない栄養素。消化が気になるときに食物繊維を多く含むものを食べるときは、よく噛む、細かく切るなどの工夫をするとよいでしょう。

不溶性食物繊維をとりすぎると便秘を招くことも

また、不溶性食物繊維をとりすぎることにより、便秘を招くこともあります。便秘の原因のひとつとして食物繊維の摂取不足がありますが、便秘の人が一度に大量の不溶性食物繊維をとるとかえって重篤な便秘症状を起こすことがあります。便秘時には腸の働きが低下しているため、不溶性食物繊維を大量に摂取しても押し出されず、さらに腸内で詰まってしまうリスクがあるため、注意が必要です。
厚生労働省策定の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、食物繊維の摂取目標量は18~64歳で男性21g以上、女性18g以上です。上限量は定められていませんが、サプリメントなどでの大量摂取には注意が必要です。

2種類の食物繊維をバランスよくとり消化にも配慮しよう

今回ご紹介したとおり、食物繊維にはさまざまな種類があり、それぞれに特徴的な生理作用があります。そのため、多くの食品からバランスよく食物繊維を補うことが大切です。水溶性・不溶性それぞれの特徴を理解し、消化に配慮しながら食事を楽しみましょう。

監修者尾上 雅子(管理栄養士)

    大学卒業後、食品メーカーにて、品質管理・商品企画・広報などの業務に携わる。現在は、企業やクリニックにてビジネスパーソンの健康サポートを行うとともに、商品・サービスの監修、コラム執筆など、食と健康の分野で活動中。

    ライター矢崎 海里

      管理栄養士・フードコーディネーター。レシピ開発やコラム執筆、栄養指導を行っています。旬の食材を生かした、四季を感じる食生活を実践中。道の駅や市場で地元の食材を見るのが好きです。

      参考リンク
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      糖質制限ダイエット中の食物繊維のとり方 食物繊維をとりすぎると下痢になる?適切な量と食材とは