ビーツの栄養素やカロリーは?高い健康効果についてもご紹介!

皮も中身も真っ赤なビーツは、ロシア料理「ボルシチ」の材料として有名な野菜です。日本でもビーツのビビッドな赤色を生かしたスイーツやお料理を見かけることが多くなりましたね。ここではビーツの赤さのワケを紐とき、成分や栄養素・カロリーなどを知っておいしく食べるコツをご紹介します。

目次

ビーツってどんな野菜?

ビーツってどんな野菜?

ビーツの名前の由来

ビーツは別名「テーブルビート」とも呼ばれ、炎のような赤い見た目から「火焔菜(かえんさい)」という和名も持っています。ビーツの名前の由来は、ケルト語の「赤い色」という言葉が語源とされています。

ビーツの原産地はどこ?

ビーツの原産地は地中海沿岸です。乾燥した厳しい土地に育ち、塩害にも強いたくましさを備えていますが、他方で夏の暑さや湿気には弱いため冷涼な土地を好みます。日本では北海道のほか全国的に栽培されています。

ビーツはてん菜やほうれんそうの仲間

植物の分類としてビーツはヒユ科に属しています。仲間には砂糖の原料になるてん菜(サトウダイコン)にほうれんそうも。おもに食べるのは丸く膨らんだ根の部分で、切ると中まで真っ赤。葉っぱを支える葉柄の部分も赤い色をしています。

身近なところでは、スーパーで見かけるサラダ用ベビーリーフのパックに入っている、茎が赤い葉に見覚えはないでしょうか。実はあの葉は若いビーツの葉なんですよ。

断面がうず巻状や黄色いビーツもある

ビーツの色は、あの鮮やかな赤紫色のほかにも種類があります。根の断面が白や黄色のほか、赤と白のうず巻き模様のビーツもあります。キレイな紅白の切り口の薄く切ったビーツはよくサラダとして使われます。

ビーツの赤紫の成分ってなに?

ビーツの赤紫の成分

ビーツを赤くする色素とは

ビビッドな赤紫色のビーツですが、紫キャベツや紫タマネギの色とはちょっと違う深みのある色に見えませんか? ビーツの赤紫色の正体は「ベタレイン」という色素です。紫キャベツ・ブルーベリーなどの色素「アントシアニン」は含まれていません。

ベタレインは赤紫の色素「ベタシアニン」と、黄色の色素「ベタキサンチン」の2種類にわけられ、赤いビーツにはおもにベタシアニンが豊富に含まれています。昔からよく「栄養があるから食べなさい」と言われた、ほうれんそうの根元も赤い色をしていますが、あの赤もベタシアニンによるものなんです。

ベタレインはポリフェノールの一種で還元作用があります。その力は同じポリフェノールのルチンやカテキンと比べて強いという報告もあるほどです。ビーツのベタレイン色素は着色料として使用されるほか、その力を健康づくりに生かそうとさまざまな研究が進んでいます。

皮にも豊富な栄養素。ビーツのカロリーは?

ビーツの栄養素とカロリー

皮に2倍近くの食物繊維が含まれるビーツ

ビーツには多様な栄養素が含まれています。カリウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、葉酸、食物繊維などが含まれ、不足しがちなミネラルやビタミンを幅広く補えます。

注目したいのは「皮」の栄養素です。ビーツの皮をむいた可食部の食物繊維は約2.2gである一方で、皮には約4.3gが含まれます。皮には可食部の2倍近くの食物繊維が含まれていることになりますね。ボルシチなど一般的な料理では、下処理の段階で皮をむいてしまうようですが、栄養価を重視するのであれば、なるべく皮も一緒にとりましょう。

皮のポリフェノールは可食部の2.5倍以上!

皮に多い成分としてはポリフェノールにも注目です。ポリフェノールはもともと植物が厳しい環境や外敵から身を守るために作り出した物質で、植物の皮や種に多く含まれるとされています。赤ワインが白ワインよりポリフェノールを多く含むのも、赤ワインがぶどうの皮や種もまるごと醸造するお酒だからというのは有名な話。

ビーツも例外ではなく、ポリフェノールは根の皮の部分に多く含まれています。100g中のポリフェノールは可食部が80mgに対して、皮には210mgも含まれ、皮には可食部の2.5倍以上が詰まっていることになります。皮はなるべく捨てずに自然が育む野菜のパワーをまるごと食べるほうが、地球にもやさしく健康的にもおトクなんです。

ビーツのカロリーは?

ビーツのカロリーは100gあたり41kcalです。おなじ根菜では、かぶ21kcal、だいこん18kcal、にんじん36kcal、ごぼう65kcalとなります。カロリーをそこまで気にすることなくサラダやスープなどに幅広く使える野菜と言えそうです。

ビーツの重さは数百グラムから大きいもので1kgとなります。カロリーの目安にしてくださいね。

ビーツの栄養素をまるごと食べる方法

ビーツの栄養素をまるごと食べる方法

ビーツを美味しく・楽しく食べるコツは鮮やかな赤を生かすこと、そして栄養素の詰まった皮もなるべく捨てずに食べること。

まるごと煮込む

ビーツのベタシアニンという水溶性の色素は水にさらすと溶け出す性質があるので丸ごと煮込んで食べられるスープはおすすめの食べ方です。

細かく切って、炒めたジャガイモや玉ねぎと一緒に煮込み、ミキサーで滑らかにし、味を整えれば鮮やかな赤のポタージュになります。ビーツを加える量によってパステルピンクのカラーになり見た目にもワクワクしますよ。

アルミホイルに包んで焼く

ビーツをアルミホイルに包み約160°の温度で1時間ほど焼くと、ビーツ独特の土臭さが抑えられるとともに柔らかくなります。細かく切ってポテトサラダに加えるとキレイな色のサラダに。調理時間はビーツの大きさによって調整しましょう。

スムージーにする

生のまま細かく切って、豆乳やバナナやはちみつなどと一緒のミキサーにかけるだけです。土臭さが気になる方は、ビーツを丸ごと20分〜30分ほど茹でて下準備をしましょう。

自然の「赤」を毎日の食事にとりいれよう

ビーツの赤い色は、健康に役立つ成分。植物が自分の身を守るための「皮」に、多くのポリフェノールや食物繊維が含まれていることは理にかなっているように思います。

毎日、野菜をたくさん食べるのは大変なこと。限られた食事の中でしっかりと栄養素をとるためにも、野菜は「皮も実もまるごとぜんぶ」を合言葉に大切に取り入れたいですね。

部位100g当たり栄養分析値(当社調べ)

※横にスワイプすると表をスライドできます。

野菜 100g当たり栄養成分 構成比 食物繊維 g/100g カルシウム mg/100g カリウム mg/100g ビタミンA μg/100g ポリフェノール mg/100g
コーン 33% 15.3
67% 5.6
枝豆 さや 45% 12.0 138 314 80
55% 5.8 84 691 60
ビーツ 10% 4.3 39 210
果肉 90% 2.2 13 80
パプリカ 種、わた、へた 12% 7.2 34 711 20 120
果肉 88% 1.3 7 261 90 30
えんどう豆 さや 47% 7.1 95 50
53% 4.2 25 30
にんじん 10% 4.5 51 759 613 80
果肉 90% 2.8 26 315 807 10
かぼちゃ 種、わた 13% 11.4 14.3 779 674 60
果肉 87% 3.4 18.8 538 679 30

監修 : 尾上 雅子(管理栄養士)

大学卒業後、食品メーカーにて、品質管理・商品企画・広報などの業務に携わる。現在は、企業やクリニックにてビジネスパーソンの健康サポートを行うとともに、商品・サービスの監修、コラム執筆など、食と健康の分野で活動中。

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